本能との決別

……火がない。

ものすごくわびしい気がするワースト事項。
火のない生活なんて、まるで本能との決別ですよ。


というのも、アロマキャンドルを数年ぶりに掘り出してきたのはいいけれど、私はタバコを吸わないので火をつけるものがなかった。
なにかの時のためにと持っていたライターの数は、この数年で色々な人に持って行かれてしまったままで、ゼロにまで減った。おそらくは返ってこないだろうし、そんなことも期待しない。
そーだ、と、以前はキッチンで火傷しそうになりながらもキャンドルにガスコンロで火をつけたことがあるぞと思い出してみたものの、この部屋のコンロはIHだったと思い出してどうしたものかと、部屋で呆然。


明かりがほしいなら蛍光灯つければいいじゃーん、机のスタンドのスイッチ入れればいいじゃーんってことじゃないんだよなー。たまには女の子ちっくにアロマキャンドルの炎が見たいの。


その後どうしたかというと、はっと気づいてマッチというありがたい文明品で事なきを得たんだけど。
その暖かな炎の色にどんなに心が救われたか。
人間に戻れた気がした。……どんだけ大げさだよ。


タバコ吸わなくても、無人島でひとり残されちゃうシチュエーションなんて人生に有り得なくても、やっぱりライターくらいは必要だなと思った。