オダさんの場合

クールでスマートで、余裕たっぷり、なんでもこなせちゃう。そんな人種が世の中にはいる。知り合いのオダさん(仮名)はまさしくそんな感じ。
スッと良いタイミングで現れ、場を盛り上げ、引き際も心得ている。土日にゃ個人的に社長とゴルフ♪なんて、どこまでできてんだコイツって感じ。


……だけど、「〜〜できてそう」なだけで、本人いわく、見かけ倒しらしい。


「いや〜、できてそうに見えます」
「あくまで“そう”なだけであって、実際できてるわけじゃないんですよ」
「でも、できてるんですよね?」
「そう見せたいなってのはありますよ」
「それってできてるってことじゃないですか。大切なのは客観性すよ」
「それがね……」と話し出したオダさん、接待された席で、相手の会社の女性と帰りの電車が一緒になり会話に困りながらもそこそこ盛り上がったとのこと。
「ナイスな展開じゃないですかー。さすがモテリーマン! オールマイティですなぁ。メールアドレスなんか交換しちゃったりして?」
「そそそ、そんな話になったんですよ。でもね、何だかんだで交換しなかった」
「え、それって……」
「僕の失態ですよねー。相手に失礼なことしちゃいました」
「微妙っすね、接待されてーの、だし。次に合いづらいですよー」
「だから、僕って実際は肝心なところ、ぽっかりしちゃうんですよ」
そう言って笑う、美女(想像)のメアドを聞き出さなかったことで悔しがるわけでもないオダさん、実はガッついてなくてそこがまた好青年ぶり度アップだってこと、本人は気がつきもしてない。


悔しーィ!
激しくイイ男だわよ。