恐るべし、柔軟剤

イさんは、コインランドリー派なので、自分の部屋に洗濯機を持ってない。そうなると必然的に私の部屋の洗濯機を使うようになった。べつに、イニシャルコストやランニングコストの問題じゃない。私がコインランドリーという誰もが使用可能と想像するに至る代物に抵抗があるため、マイ洗濯機を持っているだけなのだ。本当はキッチンに冷蔵庫を置きたいけれど、冷蔵庫置き場だろって場所には水道の蛇口が突き出ていて、必然的にそこへ洗濯機を置くしかなかっただけなのである。
賃貸アパートの間取りなんて、けったいなもの。ましてやスペースの限られた1Kなんてレイアウトへんてこりんで当たり前。


いつもは私が洗濯係なんだけど、私が眠ってるときにかぎって洗濯機回したがりやがって、「勝手に使って〜」って言い放ってボケ〜っとベッドの上からイさんの行動を薄目でうとうととしながら見てた。
そしたら。
こないだ教えてあげた柔軟剤という便利な物を、最初から粉末洗剤と一緒に洗濯槽へぶち込んでるではないか!
「だあぁぁー!」
一気に目が覚めるってもんよ。
「なんだよ」
イさんは、俺様のやり方に文句あるのか、とでも言いたげな態度をデフォルトとる。
「柔軟剤はここに入れるの! 教えたでしょ!!」
と、私は激しく柔軟剤ポケットなる箇所を指さし。
「('ε') フーン」
また自分の間違い認めないしー。
結局、そのままイさんは洗濯機を回して私の指示には従わなかったんだけど、それでも洗い上がった洗濯物は柔軟剤の香りがしてた。
きちんとした効果のほどはわからないが……恐るべし、柔軟剤。