ミゾ山くんの場合

ミゾ山くん(仮名)は、引っ越しが多かった私の、学生時代からの唯一のサバイバー。
いや、戦争は行ってませんて。表現間違ったね。
ただ、昔はケータイだのメールだのがなかったから、距離ができちゃうと疎遠になっていくのが常で。そこんとこが今とちょっと違うのである。私のような不精者と友達でいてくれるのは、ものすごいチャレンジャーか、同じく家畜生活の慰め合いか、どちらかなのだ。実はミゾ山くんは後者である。


ミゾ山くんがうちに遊びに来た。
「ぶはっ。ちゃぶ台が赤い! エロい!
レースのカーテンとレースじゃないカーテンの模様がちぐはぐ! 長さまで全然違うし!!
部屋の中に冷蔵庫が置いてあるー!
地べたPCなのにコンピュータチェアーが転がってるぅぅー!」
散々なこと言ってくれやがる。


引っ越しが多いと、必然的にそうなるんです!←力説
少しは女の子らしい部屋にしようと思って、メシ食うためのちゃぶ台を赤いのにしてみたり。
前のマンションは高い階数に住んでたからミラーレースのカーテンオンリーで暮らしていたため、遮光カーテンをこの部屋に合うように買い足してみたり。
キッチン狭くて冷蔵庫は畳の上に置いてあったり。
せっかく畳だからちゃぶ台パソコン形式に変えてみたり。
いいじゃないですか。工夫ですよ!!


しかし、なんか悔しいので言い訳は飲み込んだ。


私は、前に住んでいた家賃10万のマンションより、6万円台のこのアパートのほうが好きである。
狭いけど、古いけど、大家さん心配性だけど、それでもいい。
自分につり合った部屋というのは今、ここだと思えるから。
ちぐはぐなパッチワーク状態の部屋の中もなかなか楽しいよー。
やってみると、意外に6畳でも2人は暮らせますな。びっくりんこ。
私、本当は神経質なはずだったのに……。これが荒療治ってやつだろうか?